活版再生展セミナーレポート(3)

日刊でお送りします。
活版再生展セミナーレポート(2)
http://fezn.exblog.jp/7999880/

の、つづき。




■4■ 引力、のようなものを、感じずにはいられない

はふぅ。

RHODIA #11 に書き殴ったメモをテキスト起こしするだけで相当に疲れました。これをやるのが大変そうだったので、なかなか手をつけられずに居たのですよね。
しかしなんとかクリアー。

ここでQ&Aコーナーも終わり、いったん終了となりまして。
そのあとは、高岡先生の持ち込んだ資料類(話にでてきた作品とか)を閲覧ターイム、&時間外質疑応答コーナーとなりました。

印刷博物館の物販コーナーで見たようなアレとか。
某イベントのポスターの原稿としての清刷とか。諸々。
ジユウコウボウのオカザワさんとかシュウエイタイプロジェクトのササキさんとかともニアミスしたりイロイロ。
愉しくスゴして、さらに会場を見てまわったりしました。






……


★★番外編 ベークライト活字★★



と思ったら。


前のほうに質問に行こうと思ったときです。
実はさきほど質疑応答コーナーで挙手した人の一人で特に妙なことを聞いていた怪しい男が僕だったのですが、そのときのカンタンな自己紹介をききつけたらしく「P社」の「F」さんという方が話しかけてきてくださいました。

問うていわく、N市の編集云々といったら●●社ですか?
鉄と亜鉛の応えていわく、いえ、■■社です。

「知り合いのトコロかと思ったんですけど違うんですね」まあN市なんて首都に較べれば文化辺境ですから確かに当てずっぽうでのヒット率は高いでせう。「ところで高岡先生が、お話があるって」

と後ろを指していらっしゃる。
え? タカオカ先生は前に。


………… 先 代 の ほ う で す か !




うひょお。とか、
うがあ。とか、
心の中で焦りながら、とてとてと歩み寄る鉄と亜鉛。

P社F様おぎなっていわく、活版の歴史的なことに興味を持ってくれる若い人というのは嬉しい存在であり、いまのうちにいろいろ伝えておきたい。語っておきたい。
……との由。

##以降、メモしきれなかったので、かなり記憶補完。

はじめまして。『欧文活字』読ませていただきましたー。
「ああ。あんな本。」
 ##(ちょっと笑う感じ。/あんな古い本、というニュアンスかもしれません)
ところで古い活字のお話ですか。
「樹脂での代替活字ね。これは、いろいろあったんだよ。」
ガラスとか、ですよね。
「いや。たとえばベークライト活字。〓〓〓〓博士が発明して」
ベークライト樹脂!(名前だけは。)
「ソ連邦で、機関誌を刷ったり」
「鉛(と錫とアンチモン)合金より遙かに堅く、耐刷性が凄い」
「しかし生産性・品質etc.諸々の理由があったようで、結局は主流にならなかった」
(たしか、発明者の博士が亡命したとかいう話も伺いました。この話のメモだけ別のところにあっていま手元にないので、数ヶ月後ぐらいにメモを発掘してみます)


※ベークライト、という名は知っていましたが、あとで調べたら、現代においては基本的に、「フェノール樹脂」と称されているのですね。
■フェノール樹脂 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/フェノール樹脂


なぜ彼らはベークライトで活字を作ったのですか?
「鉛は超戦略物資だからね。」
なるほど。弾丸にしたり、いろいろ使いますからね。(ん、でも戦後?)
「いやいや、そうじゃない。壁や扉を作るんだよ。」
えっと………… 核シェルターですか(!!!!)
「(核戦争となったときのために)放射線を防ぐために、鉛の分厚い壁で囲むから、ものすごい量が要るわけで(中略)だから戦略物資だったから(、印刷は別の素材を使う、という需要があった)」

※再三「超戦略物資」と聞こえましたが、ひょっとしたら「重戦略物資」だったかもしれません。

※いつも書いていますが会話は記憶スケッチなので、台詞内容は「です・ます調」だったかもしれません。


「……そんなわけで、いま受け継がれている活字の技術とかは、先人がいろいろ創意工夫をしてきた痕跡の上に成っているということを、(そういうことに興味があるようだったので)若い人に知っておいて貰いたくてね」

ちょっと感動。


……あとから考えれば、過去の「時代背景の中での嘉瑞工房について」とか「創設者・井上嘉瑞氏について」とか、諸々うかがってみれば良かったとは思うのですが、なにぶん焦っていてまったくそんなことは思いつきませんでした。
とりあえず御礼のべて、「困ったときの編集尺」を渡して、お辞儀して。それだけ。


★★エピローグ オブ エピローグ★★



その後、タカオカ先生(当代)に色々お話をうがったり。

▼整版の人達からは「活版の本を読むとバカになる」みたいな発言はあったのでしょうか。
■いろいろ、ホントウにいろいろ。そういうプロパガンダはありました。

▼異書体の混植ってかなり大変で活版時代に作業の足枷に
■(嘉瑞工房にとっては)ヨユーですよ。ヨユー。
■工房の所蔵活字書体は、和文でも号数/ポイント、欧文でも(ディドー、フルニエなど?)何系統も混ざっていますが、(自分なら)ヨユー。

##そのための技法のお話も伺いました。本の知識や、手元にある“活字組版”をどれだけ見ても全く見えてこない、深い話があるのですなー。

▼「規格(JIS?)が一応あっても、活字鋳造業者 によって、活字の高さが違って云々」と聞きました。
■あれは「わざと変えてある」だったりします。

▼え? それは“囲い込み”ですか? A社の活字を買ったら、B社の活字が混ぜられないように。(cf.写研と、モリサワやリョービの写植文字盤みたいに)
■ノン。(中略)(後略)

##↑面白い話をうかがいましたが勿体ないので、また後日(あるいは書かないカモ)。

……しかし、お話を(雑誌インタビュウで)読んだり(講演を)聴いたり(直接うかがうかたちで)聞いたり、あるいは後日メイル往還したりしていると、非常に感じます。
自らの仕事に対する、強烈な自負を。

そうですよね。「プロフェッショナルってこうでなくちゃ」なんですよね。

……僕も己が分野において、これぐらい胸を張れるようになりたいものです。




結果的にかなり引き留めてしまい申し訳ありませんでした。 m(_ _)m
でも大変に刺激&勉強になりました。
ありがとうございました。




★補足★
会話内容は、記憶スケッチ&FeZn的にいつもどおり「言い回しは加工」していますので、実際に高岡先生が「ノン」とか言ってるわけではないです。言うまでもないことですが。
よって、記述内容の全責任はわたくしこと FeZn にあります。

★補足2★
最初は「概略」として書き始めましたが、ちょっと内容が詳細的(?)&雑多かもしれません。あとでエントリ内容を編集して、削る可能性があります。
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by fezn | 2008-02-01 08:30 | Wandering


メディアの海の片隅で、ぷかぷかと漂っているクラゲ。文字とか組版とか、勉強中。


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