活版再生展セミナーレポート(2)

(あとで書き直すかもしれません。)


さてさて。旧聞がつづきます。2007年05月の話題ですから。
「“活版再生”展」セミナー「活版印刷―昨日、今日、明日」の、レポート
活版再生展セミナーレポート(1)
(http://fezn.exblog.jp/7996087/)

の続き。


★★【1】「活版の過去(昨日)」★★


ようやくここから本編 

■日本の活版の歴史:120年
印刷雑誌の110周年企画で、執筆準備(調査)中。
##2008年01月に発売になった『「印刷雑誌」とその時代』のこと。
100年分、1200冊を調べて、まとめているところ。
いわく「ギャラはそんなに出ない。個人的に興味が湧いてコピーを取る箇所が多く、原稿に必要な箇所の2倍は取ってしまう。」

『印刷雑誌』とその時代―実況・印刷の近現代史


元木→当時は反発もあった。
##この行、自分のメモながらも意味不詳。「本木昌造」のこと?
江戸は木版(整版)/日本人は器用
20~30年かかって入れ替わっていく。
(ライバルは攻撃してくる)
##以前どこかで読んだ、「昨今は『活字(文字メディア)を読まないとバカになる』と言われるが、昔は『活字の本なんぞ読んでいるとバカになる』と言われた」という話は、このあたりなのだろうか? (あるいは欧米で500年前=グーテンベルクとかマヌティウス以降の時代?)
## →気になったのであとで質問。


■活版は industory として輸入された
明治時代……全分野で manual が必要とされた。
→効率と生産性を求める。(&廉価性)
 過労働に支えられていた。

読み易さは二の次、三の次。
改刻とかは重要でない。
##↑改刻、とメモにはあるが、この場合は何を指す?
書体やレイアウトを求めているのは昭和や戦後。

cf. 手彫り活字……今の目で見ると、「ありえない」作り。(粗い/荒い)


■戦後:活版の衰退
昭和43年がキカイ
##↑わがメモながら意味不明瞭。たぶん「機会」。
出荷台数のクロスポイント

平オフの発達
それでも「ページ物は活版」
組合の、新宿支部の中に「平版部会」と「ページ物部会」が2年前(=2005年)まであった。
なぜ2年まえ「まで」 →活版でページ物、という処が、ついに無くなった。

今はDTPの会社があるので、分離。
##↑自分の字で「あるくい」と書いてあるが、たぶん「あるので」だと思う。

写植(手動写植)の発達、電算(電算写植)の登場で完全に交替。

片は直し
##↑?? 読めない……。

一方、坐して待つだけでなく、
メートル法の活字とか、出そうとしてきた。/40年ぐらい前。
##「新号数制」とか、そのあたりの話? 写植の級数制を参考にした?
##→質問し忘れた。


各印刷会社で:新人は活版以外の部署に回した。
→職人の高齢化。

例:
今の印刷機は自動給紙。昔は職人が手差し。

(印刷博物館の)「印刷の家」のスタッフは、組版部とかのOB。→印刷工ではない。
→ staff にも手差し機の使い方が分からない。※凸版印刷(みたいに大きなところ)は手差し機なんか持っていない。
→高岡氏は問題なく使える。(小規模工房だったから、こそ。)
→いわく「日本一若い、手差し機の職人かも」。

■活版の衰勢
コスト、手間。
活版が高くなったのではなく、DTPが安くなり過ぎた。
「時間」ファクターでも勝負できない。

e.g. 近所の会社(倒産)
予備校のテキスト……直しが多い。
DTPだと1~2時間のものが、活版だと1~2日
→客が離れる。


■活版の未来の暗さ

活版は活字と印刷機があればできるわけではない。
背景(バックグラウンド)として大きな【産業】が必要。

名古屋の活字屋さん
鋳造機……50台。
→すべてが稼働? No。 ほとんどが部品取り用。
活字を融かす「お釜」が直せない。(直す職人さんが、もう居ない。)

すべて壊れたら? →「廃業するしかない」

イワタの鋳造部も閉めた。
スズキさんと話した
##鈴木さんって? メモし忘れたか。
互いに意見の一致するところ:(活版は)「もって5年」
→10年後は難しい。
→後継者難。

余談的な一例
「活版職人になりたい」という女子学生、22歳(武蔵美)
→「自分(高岡先生 本人)はあと15年(乗り切れば)悠々と年金生活。しかし今の新人は、これから30年以上、できるか? →どう考えても難しい」
 →奨めない。(勧められない。)


■生き残る道

工業/産業としては仕方ない。
→効率を目ざすなら、これは「当然」のこと。
120年前に整版が滅んだように。

↓30年前に、「クラフト(手工芸)」として残そうとしていたならば、ともかく、
産業としては「頑張ったが、無理だった」
……というのが、【現代】。



★★【2】「活版の現在(今日)」★★



◆嘉瑞工房が生き残れた理由
ひとつには、「欧文」。

自分(高岡先生 本人)が入社したのは……22~23年前
バブル前:日本全体が上り坂だったが、その時こそ、「活版」は減った。


平オフ(平版オフセット印刷)でも活版でも、どちらでも良いモノは → 平オフに。/あっという間に。

その頃から、(嘉瑞工房での)仕事単価が跳ね上がった。
→安くて早い名刺はヨソに。高いものだけが残った。
 ※売り上げ額は減少。

■工房を継ぐ
このころ、嘉瑞工房の社長に。

値下げの話は、すべて断った。
(活版をやりたい、から。)


活版の好きな人たちと仕事。
→予算に余裕がある、etc.
→ graphic design の分野に売り込み。
→ その種がいま、実っている。
(冒頭の、嘉瑞工房の仕事の紹介 につながる。)


■「活版再生」とは何か。

「自分自身は『活版再生』ってコトバが好きじゃない。」
##「だいたいナニソレ。」ってぐらいのニュアンスの勢いを感じた。

「再生」させようとも、
活版で本(書籍)を組む、等は
コスト的 & 時間的に、厳しい。

→ 産業としては、無理。

■クラフトとして

英米では、 private press は、ある。
→ だが決定的に 文 字 数 が 違 う 。
欧文……1ケースあれば1書体
和文……3000字×サイズごと×複数書体 → 400万
##「400万」は多分「円」だと思う。
##ここで妄想を着想したので、それについて質問したり→別記。

住宅事情の問題。
→アメリカとかだと、いわゆるガレージでのホビーとして、やりやすい。
「受け継ぐ」体制が整っている。
→要らなくなったものを売りに出して、まとめて若い人が引き継いでいく、といった流れが(活版だけでなく、いろいろなモノに関して)整っている。


若者数名:
このあと、展示物を引き取って、グループで継承していく。
このような形で、
中古機材ならOK(入手可能)だったりも、する。
→でもまだ不安。

活字は1字単位では買えない。
数本ずつ。→“個人”には厳しい。難しい。
##↑数本だっけ? memo不明瞭。

和文は字数が膨大。珍しい漢字とかが出てくるとお手上げ。
“商売”でないなら、欠字は「使わない」という選択肢で対応可能。
漢字を平仮名にするなど、文章をいじってしまえるし。 etc.

■ナショナルトラスト
cf.イギリス ナショナルトラスト運動。
古い活版所を買って、若者に、(夏は観光客向けに)活動させる。

そういう風に、若い人がもっと若い人に、
つなげていく、事が出来れば未来はあるかもしれない。

★★【3】「活版の未来(明日)」★★



未来はあるか? →「暗い」

現在……「活版ブーム」
が、本質的に「ブーム」=「必ず終わる」もの。
しかも、元の状態より悪化する事が多い。
e.g. アンノン族が踏み荒らすの例。

「ふつう」にして欲しい/なって欲しい。

■産業として
未来はあるか? →産業としては、「無理」

1,000円の本を、10,000円出して買うわけではない。
明日「活版印刷」が無くなっても、消費者は困らない

自分も「産業(としての活版)」の一因ではあるが、
・年金をもらうマデは頑張る。
・己の存在を知らしめていく。(居ないと困る、と言ってくれる人が居る)
 →「絶対に必要」と思って貰えるようにする。

■活版発見
「活版再生」より「活版発見」

cf. 日経デザイン最新号
[1] 嘉瑞工房の紹介
[2] 大阪の歯車封筒(二重封筒が作れる)
[3] キタガワさん 「グラフ」 人員50名 ※TCC party 二次会
 →デザイナに印刷を、印刷工にデザインを させている。
 オフセットで出来ないことを活版で。

ただ文字を刷るのではなく、
若い人にとっての「活版は new media」
として生きていく という道

■自分はなぜ活版でやってきたか?

●理由(1)

活字の【書体】の魅力。

欧文300書体を所有
「ライノタイプの一〇〇〇〇書体と較べれば少ないが」
##たしか日本一。

Macの初期から
(デジタル)フォントは活版や写植のフォントのコピー。

しかし:
当時のMacは memory 少なかった。
→ デザイン上の省略が行われた。
 →微妙な曲線が失われた。

つい3~4年前まで、そういうレベルの状況が続いていた。

最近ようやく、本当の font を再現したものが出てきた。

e.g. Optima Nova, Zapfino
後者などは金属活字では実現できなかった様態。



●理由(2)
業務内容:


端物印刷。 ハガキ、ディプロマ など。

=使用頻度の低い書体が多い。
→font ベンダは、世の中でたくさん使われる書体を先に digital 化する。
→ディプロマに使う font は、未だデジタル化されていないものもあるぐらい。


●理由(4)
「活字のテクスチャが好きという理由もある」。

●理由(3)
活字は スケーラブルでない。  →  これは、利点。
小さい pt の font はdesign が違う。 x-height なども。

digital font は基本的に 同じ。
※最近やっと、size別に作るようになってきた。(cf.小林章、Clifford)

●理由(5)
活版のマージナルゾーン
digital type は目に痛い。
ただし最近、それ (marginal zone) を再現する (digital) font が登場。



■活版の未来 もうひとつの切り口
(前段では非商業をひとつの解としたが)

「プロフェッショナルとして」というのも有りだろう。

他の表現者とのコラボレーションとか

3年とかではなく、10年でも15年でも
生きていく/続けていく 術はあるのでは?


★★【エピローグ】Q&Aコーナー★★



まずは、事前に参加者から集めたアンケートに対する回答。
途中からは、挙手を募って質疑応答。

▼DTPと活版のコラボの例を教えてください。
■清刷とか。

▼代表的な書体の歴史を教えてください。
■……それは時間がかかりすぎるので……。

▼いまの時代、活版で書籍本文組版は、可能ですか?
■事実上、詩集ぐらいなら出来る(それぐらいしか無理)。
 出来るが、発注者にも覚悟が要る。

▼伝統工芸として助成金を貰っていく道は可能でしょうか?
■経産省ではなく文科省の所管になれればよいが、今はなかなか……。
##memoにはこれだけしか書いておらず詳細忘失。たぶん「現在、経産省の管轄。伝統工芸は文科省の管轄で、この垣根を越えるのが大変。今のところ難しそう」ということだと思われる。

▼凸にすると
##このメモはこの5文字で終わっている。何を書きたかったのか忘失。
##あるいは「わざと凹凸を強く出そうとするのは 云々」という話かも。

▼現在、嘉瑞工房の便箋とかを使用しているが、大量発注したものは保存しておくとして、どれぐらいの期間、保管しておいてOKでしょうか?
##たぶん、印刷されたインキの劣化etc.を心配しているのではないかと思われる。
■保管条件にもよって異なってくると思うが実験したことは無いので不詳。
##このあたりメモ不明確。

▼金属だと扱いが大変なら、他の素材で活字を作っていくという道は可能でしょうか?
■かつて、ガラスやカーボンで実験された歴史があるが、コスト・品質で鉛合金に勝てなかった。ちなみに先程は「“鋳造機”が壊れたら直せない」話をしたが、実際のところ“鋳造機を動かす職人さん”が先にダウンしそう。
 (現代なら、樹脂などの)他の素材で、同様の品質(&簡便に扱えるもの)を実現することは可能かもしれないが、
 それを「(クラフトであれインダストリーであれ)実用的に使える量を回していくため」には、それなりのシステムを組み上げる必要がある。そのための機材や素材の開発のコストはどうするのか。だれが負担するのか、という問題になる。
=現実問題としては、難しい。



▼〓〓〓〓
##↑質問内容をメモし忘れ。
■印刷物について:
「サイレント・アンバサダーたれ」という言葉(訓戒)がある。

たとえば会社の仕事。営業に行ったとして、
その“人”の印象は、基本的には、すぐ消える。

しかし、(渡した名刺やパンフレットなどの)印刷物は、ずっと(相手の手元に)残る。

→それが、サイレント・アンバサダー(=無言の大使)になる。
(そしてそれは同時に、なによりも雄弁。)

名刺etc.  「きちっとしたものを、堂々と出す」

印刷物の重要性。


▼活版はMacに勝てるか?
■勝ってる。(大意)
##↑超意訳。

##このあたりで?だったか。「近所にガソリンスタンドがあるので、燃えたら超高熱で、活字合金とか、きっと全部、とける。」という話。

↓自分自身は、今、活版が消えたら
 Macでやると思う。というか、やる。

同等かそれ以上のものを作る自信だって、ある。

欧文の(組版の)ルールは、活版で培われた活版のルールだから、楽。
Macならではの利点もある。
(ただし、12ptと12.4pt……というようにスケーラブルに変えられることは、便利ではあるが、なくても困らない。だいいちそんな微妙なサイズは無くても今までやってこれたから、コンピュータに切り替えても、さほど使わないだろう。)

いま活版の資材があるから、活版を使っている、という側面もある。
無くなったら廃業……なんてしない。





■4■ 引力、のようなものを、感じずにはいられない


Excite Blog の長さ限界を超えそうなので、またまたエントリ分割。次に続きます。
次回、ベークライト活字を巡る、衝撃の展開。


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by fezn | 2008-01-31 08:07 | Wandering


メディアの海の片隅で、ぷかぷかと漂っているクラゲ。文字とか組版とか、勉強中。


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