字形問題関連。「辻・吉は(そんなに)問題じゃない」説を「鈴」の字形の揺らぎを通して説明してみる。

(日付変わって、前の前の日曜=2007.02.04.に書いてあったエントリ。PAGE2007に行ってから、ちょっとだけ推敲し、2007.02.12の01:10ごろに公開モウド)

長すぎましたが本来のタイトルは【Vista関連で最近流行の異体字問題。「辻」「吉」は(そんなに)問題じゃない、という説を「鈴」の字形の揺らぎを通して主張してみる。

主張というよりは、説明用のドキュメントをwebに置いておく、ッテ感じでしょうか。それにプラスして、文字系妄想いくつか。


「“一点しんにょう”の辻」と「“二点しんにょう”の辻」に関して、後者が正字で前者が略字、ってぇのは浅薄な理解らしいです。ふむ。

もともと現代の“しんにょう(しんにゅう)”の形態自体が、すでにかなり略されているわけで。

ちなみに作家の辻仁成の姓の表記は、「“二点しんにょう”の辻」らしいです。だから一部の例外を除いて、彼の本の表紙を見れば「“二点しんにょう”の辻」を見ることができます。

異体字(と言っていいのかな?)の問題であり、そして昨今ハヤリの「Vistaでの字形変更(字体変更のほうが正しいのか?)」には、この辻の字も含まれているわけで、そうすると
  • メイリオ
  • MS明朝(新)
  • MSゴシック(新)
においては、辻仁成の姓名は正しい表記が出来るわけで。

(まだ「字体(抽象概念)」と「字形(図像表現)」という語句の使い分けが曖昧かもしれませぬ。僕の場合。)


むろん「うちは“一点しんにょう”なんだ!」と言うならば、字体切り替えとか、フォントを替えれば良い……筈。(いま確認&学習中)
ただし一層ややこしくなるのは事実でせう。


このあたりは元より、「ワタナベ問題」とかと相俟って、印刷物を作っているとヤヤコシイことこの上なく、さらに「サイトウ問題」がからんでくると、『こっち(斉/斎)は異体字ではなくて、似た他の字じゃ!』ということになって一層大混乱であります。

で。
「“一点しんにょう”の辻」と「“二点しんにょう”の辻」というのは、本来は後者が印刷字形、前者が手書き字形……というダケに過ぎぬそうで。
で、常用漢字内の字は、1点に統一してしまい、常用漢字外は2点のまま残された筈が、例示字形において1点になったり云々。(詳しいことは勉強中)
要するに常用漢字外は“2点しんにょう”に戻るんですよね。ふむ。
編集者……ことに現在属している分野だと、結構イケるんですよね。
僕や同僚は、「どの範囲まで常用漢字か」を(それなりに)暗記しているので(建前上)大丈夫ですが、そうでない方には「これはこれで、わかりづらい」と思います。


「吉」の字が「ツチ・ヨシダ」「サムライ・ヨシダ」に分かれている……というのが、「いやそうじゃなくて、隷書では『土』の形に作るに過ぎぬのじゃ」という話と似たようなものなのでしょうかー。

しかし「辻」も「吉」も、姓において使用している方達がコダワリをもっていらっしゃったりするので、話がいっそうややこしく。
牛丼の吉野屋とか、素晴らしい執念でもって明朝体/ゴシック体/丸ゴシック体すべてにおいて「土よし」の字を使っています。
うまいこと説明する方法がないかなー、と思っていて、閃きました。


鈴木さんの「鈴」という字の右下は、楷書においては「マ」につくります。
しかし明朝体では全く違った形になるわけですが、僕の知る限りスズキさんが「うちのスズは『マ』なんですよ」と主張するのは聞いたことがありません。
(もしそう主張なさる方がいたら……本文がリュウミンの中ならば、学参フォントを使えばよいのであります。 MORISAWA PASSPORT の中に入っておりますし。)


(図版)
b0062477_1758637.jpg


……これは、右側のグリフ(で、いいのか?)すなわちカタカナにおいては「マ」であるところの形状(要素?)が、漢字の明朝体においては、左側の形状で表現される、ってことなんですかね。

以前、「日本人が『明朝体』と呼んでいるのは、漢字明朝体と楷書平仮名の混植書体であって、云々」と思考の試行錯誤していたのですが、
(このへんに、あとでリンク挿入)
本当に明朝体の筆づかいでカタカナを書いたら、かくのごとく……まったく違った形態を取ることもあるわけですね。
(この話も、後日、別エントリにつながる……予定。 http://fezn.exblog.jp/4594799/ の関連。)

で、手元のフォントで試してみて気づきました。
いろいろなフォントにおける、鈴の字。

(図版)
b0062477_17582517.jpg


隷書でも「マじゃないほう」なのですね。これは。(現代フォントなので、書家の方とかに確認しないといけませんが)追記あり。
……隷書・明朝体は「マじゃないほう」、楷書・行書が「マ」ってところですか。
(ということは「マじゃないほう」が古くて、明朝活字体ではそれが復活した?)
そしてそう考えると、HGP白州ペン楷書が「隷書・明朝体」と同じ「マじゃないほう」を取っているのは何故なのでしょう。ふむ。なにか関係がありそうな、そして面白そうな気がします。


で、本題。
「“一点しんにょう”と“二点しんにょう”の違いは、鈴の字の右下と同様に、シチュエーションによって変化する程度の問題なんだ!」と説明してみることにしてみます。
「斎/齋」とか「葛」とか……とはまた別の問題、ってぇことで。
「入」の字が手書きと活字で違うのと類似で。
……しかし中国では手書きと同じ形に作る&ので話は複雑。……しかも日本人の中には、手書きでも活字字形に書く人がいたりして一層複雑。……なので……、また別の機会に。
■FeZn/Bookmark : こまかく尖った
http://fezn.exblog.jp/1980358/
↑のコメント欄に自分で書きました。
常用漢字と簡体字で字形が違う字は当然改造されるとして、その範囲内であっても変更のなされる文字がある件について。
手書きの“字体”&“字形”概念と、印刷“字形”概念の重なり方(?)が、日本と中国で異なっている?
「入」という字を、ある日本人大学生(僕じゃなくて)が明朝活字字形のままに書いていて、
いっぽう大陸では、手書き字形に近い、点画の組み合わせ。(左払いと右払いの位置関係が。)
(あとで写真さがす)
「中」の字も、そうなのだろうか?


まあそれであっても、僕の基本スタンスは(いろいろ事情もあって)「慣用は呑み込んじゃえ」なので、「別字なんかじゃねえよ! 正字・略字の問題ですらねぇ! 出直して来い!」とは言わないのであります。(いや、ホントいろいろ事情もあって)
「書体によって違う形で現れているだけなんだけど、まー慣用的に区別することになってたりするですわさ。」
……ってあたり。

日和見?

このへん(字形とコンピュータと文字コード)については、「なんの解決策にもならない解決策(妄想)」があるので、また考えがまとまったら。



最後に、また脱線。
「マ」「マ」って連呼してると、あの壷の人が来そうな気がします。(すみません同じネタですね。以前と。)
■FeZn/Bookmark : あの壺の人。
http://fezn.exblog.jp/3568885/





(up前に追記)
で、終わったはずのところに本編が続きます。
『五體字類』(ごたいじるい)を見てみました。

(図版)
b0062477_17584521.jpg


ふーむ。
……「どっちでもいい」んですね。というか何というか。まあ「書体・書風による異同の範囲内」というか何というか。
むかし近所に、「川」の字を「ツ」そっくりに書く方がいらしたのを思い出しました。


てゆうかヤバいっすね。この本。ドキドキします。(←重症)
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by fezn | 2007-02-04 17:53 | Wandering


メディアの海の片隅で、ぷかぷかと漂っているクラゲ。文字とか組版とか、勉強中。


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