和欧混植用Helvetica

FeZn/Bookmark : モリサワのG体と、スイスG体。(ちと違う)http://fezn.exblog.jp/4258673/
の、続き。
僕が「果たして見出しゴMB31の1byte欧文は、Helvetica Boldと同一人物(人ぢゃない)なのか」という疑問のもとに重ねてみたりしたHelveticaは、本来重ねてみるべきフォントデータぢゃあなかった、という結論の話。


先回エントリの画像をつらつらと眺め、つづいて『Helvetica Book』を開いてみたところ(最初に本を見てから書けよエントリ)、
「お? ひょっとしてMB31は(旧)Helveticaベースで、比較用に使ったTrueTypeフォントはNeueベースなのか?」となむ。
で、Neueは無いものの、当該書籍にある図版に倣って、重ねてみた次第。
ほぼ同じ順序で文字を並べています。
組版機に無くてもプリンタにあれば出力できるAFM万歳。
字詰めもできるし。
(Mac+PSフォント使えよ、というのは無しでお願いしまふ。)


まずは画像1枚目をご覧あれ。プリンタ出力をscanしているモノですが。
(いやーモリサワNewCIDとか、PostScript欧文のHelveticaフォントが手元のWindows機に有りませんので。)
b0062477_0172656.jpg

見出しゴMB31:スミフチ、シロヌキ と、
スミアミ50%の Helvetica Bold(某社特製、調整済)
見事にズレています。大文字のアイのせいで。あと、等号(某社特製は、異様に長い)。
が、それだけではありませんね。
この図だと(アイから先がズレていることもあって)分かりづらいですが、大文字C、G、O、Qなどの丸い文字とかに、違いが見られます。


続いて、AFM指定してPostScriptプリンタから出した、PostScript欧文35書体のうちのHelvetica Bold。たしか正式には「B Helvetica Bold」だと思います。
これはAdobeのバージョンなのでしたっけ。
それかを、さきほどの特製 Helvetica Bold と重ねてみた次第。
これもおなじくズレています。
ばっちりズレています。なんだかズレ方が1番目とほとんど同じような……

で、モリサワ見出しゴMB31と、
PostScript欧文35のHelvetica Bold
を、重ねてみました。
おお。ほとんどの文字が、まったく同じ。(ルーペで確認)
ただ記号類に若干の違いがあり、ことにチルダの違いによって大きくズレが生じています。

また、末尾は「ポンド記号」「ユーロ記号」をEDICOLORの便利ソフト「1ByteClip」(MacだとOption打鍵で済むから要らない筈……これについては後日詳述)を使って挿入したものの、
・見出しゴMB31の1byteでは、ポンド記号が「カギカッコの受け」になり、ユーロ記号は出ない。
・PostScript欧文基本35書体のHelveticaでは、ポンド記号は出るがユーロ記号は「ウムラウトA」になる。……という模様です。
ユーロが正しく出ているプリントアウトが無いので「本当にそんな記号入れたっけ?」一瞬不安になりますが、画面表示に使われていたWindowsTTフォント(Helveticaに近似の書体が表示されましたが、「G」の形状からして、たぶんArial)では、ユーロ記号は出ていました。WindowsXP標準搭載のArialだと思います。

ウムラウトについては
ウムラウト - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/ウムラウト
 を参照。

b0062477_0173734.jpg

で、改めて、見出しゴMB31と、TrueTypeのHelveticaを重ねてみました。
デカデカと。

まずは「I」。大文字のアイ。
小文字のエルと判別しやすいように上下端にセリフつき。また小文字のディセンダ(ベースラインより下に伸びる部分)はことごとく短くなっています。
ディセンダが短いのは、おそらく和欧混植を前提にしているからだと思います。
パーレンなどの記号類も、和文に合う形状&ベースラインにしているのではないかと。
(欧文書体の丸パーレンは、往々にして和文・和欧混植文の中では低すぎるようですし。)
パーレンが長いのは、数式を見せるためでしょうおそらく。(すくなくとも和文メインの本で)数式のためのパーレンは、長いものが必要です。(この会社の来歴からしても。)ただ、マイナスが短いままなのが気になりますが。
そしてシングル、ダブルクォートが、いわゆる「dumb quote(でしたっけ)」ではないのですね。PostScript版のほうと違って。


そのほかいろいろと、既述の通りC・G・O・Qなどは異なった曲線を持ち、小文字も曲線や字送り(?)の違いが見られる……わけですが、はてさて。どういう哲学がこの背景にあるのかは、未だ分からずなのでした。

書体名の右に、なにやらモザイクタイルで処理した領域がありますが、ここにはフォント名を入れていた次第。書くとワカる人にはワカるかもしれないので、わざとらしく隠してみます。
とはいえ、日本語の本を作っている某社が、自社出版物で使うために特別に調整したTrueTypeフォントであることは間違いないのです。通常のHelveticaではなく、この〓〓〓〓〓(←伏せ字)を使うよう指示があったりしたようですし。
そうすると、この会社のオリジナルの和文書体に適合するような調整がなされているのかもしれません。……和文フォントは手元(PC、プリンタとも)には無いのです。残念。

で、この某社専用Helvetica。大文字のアイが異なったり諸々で、しかし数字の1や5の形状からしてNeueの影響を受けたりしてるのかなあ、と思ったりしたわけですが、はてさて。

とりあえずCID版のMB31の1byteは、Adobeの(?)Helveticaと(ほとんど)同一人物ってことで。(←だから人ぢゃないって。)

Helveticaに関するFeZnのClipは
はてなブックマーク - FeZn/Sinfonia / Helvetica
http://b.hatena.ne.jp/FeZn/Helvetica/
に、あります。たぶん。
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by fezn | 2006-03-21 00:36 | Typeface


メディアの海の片隅で、ぷかぷかと漂っているクラゲ。文字とか組版とか、勉強中。


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