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文字を分かつ、単語を分かつ。それは空白でなくばならぬという縛りはなく。

文字を分かつ、単語を分かつ。それは空白でなくばならぬという縛りはなく。

 結果的に先回のエントリ「oneだから1なのか。」
http://fezn.exblog.jp/2840079/
の続きのようなものになるのですが、単語の区切りについて。

百式-新感覚デバイス
http://www.100shiki.com/archives/2005/06/_tactivacom.html
から、
TactaPad
http://www.tactiva.com/
のサイトに飛んで、ふと思ったことがあります。

 単語の切れ目で、キャピタライズすると同時に、書体(つうかウェイト)を変えているんですね。
 記憶をたどって考えてみると、こういう例はほかにもたくさんあるような気がします。

 コマンドプロンプトとかいじっていますと、空白を含むファイルorフォルダ名があると面倒なことこの上ないなぁと思わされます。Windows標準の「Program Files」とか。「ProgramFiles」にしてもいいぢゃん、と思ったり。大文字で区切りはワカるんだし。

 先のエントリにいただいたコメントを拝見して(実はさらにそれから数時間してから)気づいたのですが、そういえばDelphiを勉強していたときに(これはVisualBasic由来でしたっけ)メニューをつくるとき、内部的に「mnuUndo」としていたり。小文字ではじめて、語の区切りでキャピタライズ。

Web Frontier >> Delphi入門 >> エディタは文字列処理が命!
http://www.w-frontier.com/delphi/3_edit.html
↑Delphiでテキストエディタ(未完成)作っていたときに参考にさせていただいたたサイト。

 アルファベットには小文字と大文字があるので、単語の切れ目は全部それでもいいような気がしてみたり。
AllWikimediaProjects(Wikipedia,Wiktionary,Wikibooks,Wikiquote,Wikisource,
AndWikinews)AreCurrentlyOfflineWhileHardwareMaintenanceIsCarriedOut.

http://en.wikipedia.org/wiki/のメンテナンス中メッセージから語頭を大文字化して空白を除去)

 ……きびしかったです。無理ではないですが。
 (↑と書いたのですが、改めて虚心坦懐みてみると存外読めるような気がしてきました)

 CUIとかプログラム言語では、空白で命令文を区切って(←もっと適切な書き方あるんでしょうけれどよくワカラヌので)いるわけで、2語からなるファイル名とかを指示すると、その1語目をコンピュータの中の人は読んで「????」とかなってしまう次第。たぶん。
 だから小文字大文字で区別するわけでしょう。(先頭を小文字にする理由ってなにかあるんでしたっけ?)

 さて、文字がくっついていると読みづらいことこの上なしです。
 でもそのおかげで、コンピュータが単語の切れ目を自動的に認識してくれます。「単語単位でジャンプ」とか、日本語(用の)のテキストエディタやワープロソフトでは、英語を扱うのと比べてその機能の光り具合が違うように感じます。(英語とかのファイルを開いて単語単位のジャンプしたりすると、非常に快適)
 日本語では、それが必要なかったために語間空白が無いわけですが、その代わりに漢字・ひらがな・カタカナ&アルファベット・数字・記号類の差があるわけで。
 文字の種類が切り替わるところやその前後で単語が途切れる、というのが大きいのでしょうね。
 機械的抽出etcはそのゆえに困難になりましたが、機械のほうも「カタカナのかたまりを一単語とみなす」とかの対処をしているわけで。

 ……ところが、昔のラテン語の書物とかは、語間空白とかが無かったそうで。
 キーワードは「黙読と音読」。黙読が特殊技能だった、という話をどこかで読んでいまして、昨今探してみた次第。
 単語の切れ目がなく、(また、たぶん全部大文字で)記述された本を読むには、音読するほうが容易かった……という記述。
 それ自体ではありませんが、みつけました。

音読、朗読そして黙読(文学部 高宮利行)
http://www.humi.keio.ac.jp/workshop/2001/lecture/010528/010528_takamiya.html

 当時読んだのとは切り口が違いますが、イロイロと面白くありました。
 日本の学会云々のところは、西洋の音読・黙読とは直接つながらないと思うので他の文献が必要だと思いますが、アンブロシウスの読書姿をみたアウグスティヌスの述懐は(というかこれが探していたものだったのですが)非常に興味深くあります。

 その時代に黙読がなかったわけではないようで、また複雑なのですがそれはリンク先へ。

 そのほか、関連しそうなURLがいくつか。
 はてなブックマークがタグづけに対応したので(少し前か)、[音読と黙読]というタグをつけて放り込んでみました。
 事後の追跡もこれで簡単。
FeZn/Sinfonia / 音読と黙読

 ……が、現時点、なぜか表示されないので(涙)
はてなブックマーク > FeZn/Sinfonia > 音読と黙読 の検索結果
 のほうをどうぞー。

 欧文の語間空白は、やれどれだけが最適だ、とか議論あったりするようですが(僕にとってはまだ「らしい」という理解レベル)、上のリンク先のどれかにあるように、そういった「正しい組版」はアルファベットの長い長い歴史の中では、どれにしても最近のことにすぎないそうで。


 さて、冒頭の例からのひらめきにもどりまして、
 書体(つうかウェイト)変更で語間区切りとするのは、ウェイトという概念が出来て以降のことなのは当然だと思うのですが、単にキャピタライズするよりも遙かに「ここで区切り」と分かりやすいと思います。
(イタリックの問題とか割愛! 以前立ち読みした本を探さないと……)
 むろんこの調子で本文を組んでいたら目がちらちらしてきそうなのですけれど、「書体」を変更しているのではなく「ウェイト」の差異によるものなので、ひとつながりの文字列としての統一性を保っているのかなぁと感じます。

 で、ひらめきなのですが、
 漢字と仮名(和字)の間には、明暗の差がありますが、
 欧文で複数ウェイト混ぜたロゴタイプと似ているんじゃないかなぁ、と。

 現代の、文字言語としての日本語……というか過去においても(やまとことば含めて)は、漢字=コトバの始まりであることが殆どであるようで、
 それはつまり「文字列が黒くなったら単語開始」だから、「文字列にアキが出来たら単語区切り」というのが必要ない、とも言えるのでしょうか。
 なので、名詞とか動詞だけ黒く(ウェイトを上げて)語間空白ナシとか、語頭だけ黒くした文字列も面白いのかなぁと思ったりしました。

※考えてみるとドロップキャップス処理は、文や文章の頭の文字を「書体変更」や「ウェイト変更」「装飾」したりする処理で、それは勿論カザリではあるのですが、そのあたり関係しているのかなぁと、またヒラメいたり。



※『活字に憑かれた男たち』とか読んだりしたことも参照しつつ。

※欧文組版(ってひとくくりにしちゃいかんらしいですが)の本とか読んだら普通に書いてありそう。

※『ローマ字印刷研究』が店頭にあった流石J書店。このあたりの本はどれも高いなー。僕には馬の耳に念仏・猫に小判かな。

※ただ、日本語「組版」においては語間空白は(あまり)ないですが、手書きに日本語となると自然と開けてたりするんですよね。その雰囲気は「活字」で再現するのは困難で。

※そういう意味でも 明治に金属活字が正方形になったこと、文字言語としての日本語の変化 形成というのは、関係 深そうです。

※句読点の問題とか出てきますが、これまた別エントリにメモする予定。
by fezn | 2005-06-07 23:58 | Typeface


メディアの海の片隅で、ぷかぷかと漂っているクラゲ。文字とか組版とか、勉強中。


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