この水平の一本の棒は

(週末に書いておいたエントリ。25日に公開モウドにする予定が、寝てしまって翌日。)
 思うことがあるのですが、いったい「同じ字形で異なる文字」というのは、どういうことなのだろうか、ということです。
 これ、単純なんですよね。きっと、ちゃんとワカってる人にとってみればわざわざあげつらうまでもないことなのでしょうけれど、僕マイセルフとしては思考をまとめておくに値するため、鉄と亜鉛風味でおおくりします今日のエントリ。(たぶん初歩的すぎて今僕の手近にある本にはないのでせう)

 で、画像系ソフトで、マウスをつかんで、びーっと横に引いた画像。かつ文字。マッキーで描いた手書き図像をスキャンすれば良かったやもしれませぬが。
b0062477_22335850.jpg

 さて、これなんですが、漢数字の一でしょうか。
 音引き(ー)でしょうか。
  ※カタカナの音引きと平仮名の音引きって(コード的にでなく)別なんですかね。リとりは別の字ですが。(平仮名には音引きを使わないという話を聞いたことがあったり)
 全角ダッシュ(―)かもしれませんし、全角ハイフン(-)かもしれませんし、いや全角ではなく半角のハイフン(-)かもしれません。
  ※そもそも全角半角って実際本当に問題ありすぎです。コトバとして。

 いや、これは画像ですから、ひょっとしたら横倒しになってるかもしれないじゃないですか。
 英字大文字のI(アイ)かもしれませんし、小文字のl(エル)かもしれません。漢字に「コン」っていう字があるんですよ。「丨」ってぇ字。

 ……僕が編集した本で、「丨」が正しい字形になってない本があるのは秘密。「一」を横倒しにしてあるなんて口が裂けても言えません。
 字形が合っていれば、文字コード的にどこにあろうが関係ないと思うわけです。別のエントリにもちらと書きましたし、以前BlockBlogのほうで偉そうなことを書いたりしましたが。

 トと卜というのは、ある意味では同じなんですよね。だからゴシック体で区別がつかないのは当然のことで。
 明朝体で区別がつくのは異様なことであり当然でもあり。
 我々が「みんちょうたい」と呼んでいるものは本来のそれではなく、
 漫画の吹き出しが<石井ゴシック+アンチック体>の混植であるように、<明朝体漢字+楷書系和字>の混植なわけですから。
 きっと、和欧混植をする前に、活字は明治のブレイクスルーで和漢混植を取り込んでしまっているのでしょう。

 ある文字集合(ちと違うか)の中に同じ字形の他の文字は存在せず、するように見えるとしたらカテゴリの異なるものらしいです。どうやら。(大文字/小文字は異なるも文字集合?)
 数字の1、0と英字のl、Oがそっくりなのは、英字と数字(インド/アラビア数字)が異なる出自を持つゆえで。
 I(大文字のアイ)と時計数字(ローマ数字)の1が区別できないのはあたりまえで、ローマ数字なんていう数字は存在せず、ローマ式の数字表記法があるだけですから。(このあたり語弊ありますがー)
 昔のタイプライタの中には、数字の1と0を持たないものがあるそうです。(いま検索しましたが画像みあたらず)
 これはlやOをその代用とするわけで、秘密工作員007がダブルオーセブンと呼ばれているのと類似なわけで。

 なので、N60BASIC人間であったころの僕を想起すると、ゼロには斜線を入れてOと区別していたり、ロゴタイプとかでもZに斜線が入って2と区別している例を街中で散見したりするわけでして。手書きの文字に於いてはそういった対処が取られていたり。製図の現場とかで。
 しかしこの対処は、カナや漢字では事実上使えない、わけですね。アとマは線の角度が異なるだけで別字であったりしまして、加藤教授(でしたっけ?)とかが「カナ改善運動(書き方を少し変えるだけで、区別しやすくなる)」をやっていたり。確か。

 ……その一方「り」と「リ」は区別ついたりしますよね。手書きだとそうではない場合があるにしても、これを見誤るフォントは少なく。
 その直線性と曲線性のありようから、かな/カナは異なるモノといえるわけで、同様にカナと漢字も違う「書き方」があったりで。
 だから先掲の教科書体の例では、なんとか漢字と和字(トと卜)の区別がつきそうだったりするのでしょう、か。(このへんまだ調べてないです)
 手書きで僕は、和漢と英数のサイズを変えてみたりします。というか手書きや古めの本文明朝では、和字が結構小さいですよね。
 
 
 ちなみにここだけの話ですが、某社の英語教材は、小文字のエルであるべきところが、すべて「半角数字」の1で組まれているものがあったりします。0~9の数字は別書体の混植。
 当該刊行物の編集者にとって、そのフォント(センチュリー系のやつだったような気が)エルの字形よりも1の字形のほうがエルとして相応しいのでしょう。
 途中でその話が来たものですから、もう大騒ぎですよ。いやはや。
 文字を入れ替えた専用のフォントとか作って用意してくだされば良いものを。

 このあたりは、関連して、最近覚えた事の中に、クォーテーションマークの字形とかいろいろありますが、また後日。
 たとえば天下のB社とかは、用意してるんですよね。専用書体とか、専用校正システムとか。
 S社も小学校の数字&記号類専用のフォントがあったりします。ぎゃふん。


 
 
 ……ちなみに上の画像は、僕の記憶が正しければ、マヤ数字の「5」です。
 ついでに言うと我々が数式の左右をつないぐのに用いているのは「10」ですし、「1」を中黒(・)と称して区切りに使ったりしているわけでして。

 
 たとえばすべて楷書あるいは硬筆文字で組んでしまうと、かな・カナ・漢字・記号類が殆ど区別つかないじゃないですか。無理矢理がんばって区別つけることはできるかもしれませんが、ある文字という同定が瞬間的に可能な範疇を越えることはできないわけで。
 その点、明朝漢字に楷書「系」和字という組み合わせですと、わりあい区別がついて素敵に思います。単なる結果なのかもしれませんが、そういうこと、も、背景の一つとしてあって現代に至る、和漢混植明朝というのがつづいているのかなぁ、などということを考えたりします。
 ※しかし「楷書」を辞書で引くと、漢字の書体となむ書いてあったりします。その他もろもろの理由でこれを「楷書」と言ってしまうのは問題アリアリなのですがとりあえず。

 明朝体Loveなんじゃなくて、明楷混植Loveなんじゃないですかねニッポンは。
 語弊ありますがとりあえずたぶん。



(2005.7.8追記)
http://fezn.exblog.jp/2840079に関連する話題。palmOneのロゴのエルがワン(1)になっている件。
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by fezn | 2005-04-25 23:01 | Typeface


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